仕事で「コミュニケーションが問題だ」とまとめるのは何も言ってないのと同じ
過去に数度こういったtweetをした記憶がありますが、何度でも言います。
「コミュニケーション」という言葉の指すものが漠然とし過ぎていて、まともな問題提起になっていないからです。 こうした問いにはまともな解が与えられません。
それを正すことが、解決への第一歩と思います。 解の質は、問いの質に比例します。
意思伝達で問題が起きていそうだとなった時に「もっとコミュニケーションをせよ」 という声が上がるのを何度か見てきていますが、正直これが実のある意見だとは思えません。
この状態でさらに、よく分からぬまま「まずは飲み会を…」等となるのも短絡的ではないでしょうか。
そもそも仕事において「コミュニケーション」とは何を指すのか
この場では 「関係者間で伝達し合った情報に基づき、各々が利益につながるであろう行動をとれる状態になること」 という定義をしたいと思います。少々まどろっこしいですが。
曖昧さのある定義であるものの、曖昧な概念であるからこそ、問題がボヤける要因となります。
加えてこの言葉は、仕事を離れた人間関係一般においては別の意味を持つと思います。 仕事の場においてもそちらの概念が入りこむことは多々あり、それがさらに曖昧さを助長します。
コミュニケーションの問題分類
コミュニケーションが問題となっていると言われる状態というのは、以下の4種に大別できるのではないでしょうか。
- 情報を発信したつもりだが、期待される行動を相手がしなかった
- 情報を受け取ったつもりだが、期待される行動を自分がしなかった
- そもそも情報が発信されなかった
- 過剰な情報供給により、受け手の混乱、または作業中断による能率低下が起きた
そして、このいずれかに分類したとしても、まだ考えるべきことがあります。
- こうした問題はどういう状況で発生するのか
- 発生する要因は何なのか
具体例で言うと、以下のようなものが想定されます。
- 異なる部署間でのやり取りにおいて、同じ単語をお互い別の意味で捉えていた
- 緊急度の高い問題があったが、発見者が優先度を低いと取り違えて連絡を後に回した
- 上司が威圧的な態度をとるため、部下が問題の発覚を恐れて報告をしなかった
- 気軽な会話がしにくい風土のため、フランクなアイディア交換が発生しない
これらはいずれも「コミュニケーション」の問題です。しかし一緒くたに扱うことができるものなのかというと、 少くとも自分はそうは思えません。
そして、解決にあたっては上記からもう一歩掘りさげる必要があるはずです。 これらが発生した要因をさらに考え、それを解決しにいくスタンスが重要です。
なお、冒頭の内容を誤解されないように言っておきますが、飲み会は悪いわけではありません。 上記の4のケースであれば、効果的な解決手段になる可能性があります。
最後に
コミュニケーションというのは便利な言葉であるためつい使ってしまいますが、 それが問題の本質を隠してしまいます。
恐らくこの背景には、この言葉が世間的に非常によく使われていることや、 公私共に他人との意思疎通(仕事のみならず、恋愛等の人間関係)で悩む方が多いことがあるのではと感じます。
しかし、この便利な言葉が覆っているものを適切に捉えることで、解決に向かっていけるのではないでしょうか。